Lesson7「吟譜」について(解説)
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 これまで、五線譜で詩吟の節調(旋律、メロディ)を表してきましたが、このような表現は一般的ではありません。
 尤も、このような五線譜で表した教本や書籍があるし、詩吟大会の出場者の中で皆さんが今まで学んできた「標準吟」に相当する節調で吟じる出場者もいらっしゃいます。
  しかし、多くの
流派では下記のような吟譜が使われていると思います。
 ある程度慣れてくると、下記のような吟譜の方が分かり易いのです。ただ、右のアクセント記号の付いた吟譜を初見(見てすぐに吟じる)するにはかなりの訓練が必要だと思いますが。
 

岳風会教本「第一 和漢名詩の吟じ方 29ページ」より 岳精流教本(天の巻 210ページ)より
                 解  説
 これらの吟譜は漢詩の読み下し文に「吟譜記号」が追加されたものです。
吟譜記号として次のものがあります。
1)音高記号;長三角形のもの、右上がりは高音、水平は中音、右下がりは低音を表しています。

2)余韻記号;横線に波型をつけたものは「ゆり止め」、乃を一筆で描いたような記号は「山」、ゆり止めの後短くはね上げたのが「ゆり上げ」、大きくはね上げたのが「二段上げ」、「て」のようなのが「ゆり下げ」と呼ばれています(いずれも岳精流による)。

3)アクセント記号;右の岳精流の教本では「アクセント記号」がつけられています。
 縦線の付いた部分の仮名は高い音、ついていない仮名は低い音、であることを表し、これによってアクセントが分かるようになっています。
 例えば最初の「べんせい」では「べ」は低く「んせい」が高くなります。このようなアクセントは「平板」と呼ばれています。
 「いこん」は「い」が高く「こん」が低いことを表し、このようなアクセントは「頭高」と呼ばれています。
 「ようするを」は「うす」が高く後は低い、つまり、高い部分が低い部分に挟まれた形になっています。このようなアクセントは「中2高」と呼ばれています。「2」は「うす」のことです。
他のアクセントの名前として「尾高」というのがあります。
 「尾高」はLesson3(富士山)の第3句「雪は」がこれに該当します。
単語「ゆき」は「ゆ」が低く「き」が高いという「平板」と同じなのですが、「後に来る助詞が低くなる」ことから、「尾高」と名付けられています。ただ、「ゆきは」をまとめて考えると「中1高」と見ることもできます。

漢字にはすべて振り仮名が付けられていますが、これも吟譜記号と言えるかも知れません。

 このような吟譜に慣れて貰うためには沢山の吟譜を提供するべきなのですが、既製の吟譜をコピーしたのでは「著作権侵害」になってしまいます。
 上記のように、1吟、2吟程度ならば「引用」として認められるのです。その場合引用元を明示するのが決まりですが。
 このLessonでは多く使われる吟譜(五線譜以外の)とはどういうものかということを知ってもらうために提示したものです。
 
  詩吟教室に参加される方はその流派の教本を手にすることができます。
 もしも、このページだけで「もっと多くの詩吟を覚えたい」と思う方のために別途私なりの吟譜を提供することを考えています。
その場合、「バソコンに入力することによって吟譜の作成が可能であること」が条件になります。
 基本的には「漢詩の読み下し文」に「吟韻記号」を付ける、であることは共通ですが、「余韻記号」が異なることになると思います。
ま、アクセントをどう表現するかまだ決めていません。2通りを考えいるのですが。 

 
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